生年月日1965年4月
職名准教授
研究室B5-104
内線8398
E-mailiwama@ses.usp.ac.jp
専門分野土壌物理学、農業土木学
担当科目土壌環境物理学、地域情報処理学、環境物理学実験、生物資源管理学実験・実習Ⅸ(土壌物理)、Ⅹ(測量)、フィールドワークⅡ、GIS/リモートセンシング論(大学院)
Webサイト本学研究者情報

研究概要

 研究テーマは、土壌とGIS(地理情報システム)に分かれます。

 (1) 土壌
 元々の専門分野は土壌物理学です。土壌内部の水や養分などの物質移動は直接見ることができないため、土壌は均質な物体あるいはブラックボックスとして扱われます。しかし、水田や畑地などでは、ミミズや昆虫などの小動物の活動跡や植物根の腐朽跡などからなるミリメートルからサブミリメートル単位の間隙ネットワークを形成されます。実際にはその中を流動するのでこの様子を直接観察できれば、土壌汚染も含め様々な現象を評価することが出来ます。そこで土壌に造影剤を流してX線撮影することで流体の挙動を観察、測定し、水田土壌や砂質土壌など様々な土壌の役割について研究しています。
 また、この研究から土壌に関連して以下のテーマに取り組んでいます。
 一つ目は、新たに農地を造成した後の土壌の成熟化に関する研究です。造成直後の土壌は栄養不十分で排水不良、硬いなど、植物の生長に不利です。そこで、作物に適した土壌に成熟(=植物にとって養分が十分で水はけが良く根の伸長に優れた状態)させるため、緑肥作物や有機堆肥がどのような効果があるか検証しています。
 二つ目は、乾燥地における節水潅漑に関する研究です。ここでは、発展途上国でも導入しやすいよう、低コストで簡便な灌漑技術として透水性の小さい多孔質管や多孔質不織布のチューブを地表面近くに埋設し、内部の水圧を調整しながら灌漑する地中灌漑法の技術開発に取り組んできました。
 三つ目は、乾燥地・半乾燥地における塩類集積や砂漠化の問題に対処する研究です。中国内蒙古自治区の塩類集積地に自生する耐塩生殖物であるケイリュウ(御柳:Tamarix spp.)の吸塩機能に着目して土壌改善を図ることを目的に、その耐塩性機構(吸塩・移動・貯蔵など)に関して生理学的・生態学的側面から研究してきました。

 (2) GIS
 屋外調査では、地域全体に調査地点が点在し、それぞれの位置関係(つまり地理情報)が重要となります。そこで、google mapなどで一般的な地理情報システム(GIS)を用いて、調査地域の様々な統計的な情報を管理し解析することが一般的です。本学では学術機関や一般企業で最も普及しているESRI社のArcGISやリモートセンシング用であるERDAS社のIMAGINEが導入されており、学内であれば誰もが自由に使用できる環境です。
 現在、琵琶湖集水域における水路内の生態調査にGIS活用しています。古来からの琵琶湖周辺の河川、農業用用水路や沼沢地の生態系が、近年の我々の生活環境の変化や外来動植物の侵入により脅かされています。この生態系を保全するため、この実態を把握することが重要です。そこで、大学周辺の小河川や用排水路の魚類を対象にその種類や個体数、調査地点の流速、水温、底質などの環境状況を調べ、GISデータにとりまとめました。その上で琵琶湖に固有な魚類の生態系保全に関する条件を評価します。

教育方針(研究室の運営)

  授業・講義で説明した内容が、身に付かなければ意味がありません。よって、できるだけわかりやすく説明することは当然のことですが、受講生がどれだけ身に付いているか知るように努めています。具体的には区切り毎にレポートを課し、赤を入れた上で返却しています。
 一方、卒業論文その他研究に関する面では、できるだけ学生の自主性を尊重したいと思います。さらに、自分の意見をはっきりと述べられるように指導したいと考えています。
 なお、研究は4回生にならないと出来ないものではありません。他の大学ではあまりないようですが、本学科では自分が興味を持つ分野について、1回生から研究室に入り浸って研究するものもおり、大学生が学会で発表するケースもあります。やる気さえあれば、私の研究分野と多少異なっていてもサポートしていきたいと思います。
 また、農業土木系の研究室でもありますので、私の研究室では技術系公務員(主な行き先は、国家公務員や地方上級)となるものが過半です。そのためのサポートも惜しみません。